2022/11/06 16:42
22歳の頃。普通の会社員を選ばずにこの業界に入った時の動機は不純だった。それは「スーツを着た仕事をしたくない」と言うナメた理由。両親からの反対を押し切り僕はこの業界へ足を踏み入れた。
時は流れ20年近く経過した今、コロナ禍を経てその風潮が逆に「家でスエットを着ながら仕事をする」みたいな極端な時代の変化が訪れた。
自分は常に洋服屋の精神が宿ってか、人と同じ格好をしたくないひねくれ者。時代に抗う様に今は「スーツが着たい」と言う心境にいる。38歳という年齢に差し掛かったこともあるのか、自分の価値観にも変化が訪れた。
そんな時に出会ったカッコイイスーツがある。一見シンプルでソリッドだが、ディテールの凝り方が半端じゃない。
それがCallのSplit Pocket Jacketと6Pocket Wide Trousers のセットアップ。もちろん単体で別々に使用できるアイテムだが、個人的にスーツの合わせが非常に気に入っている。
Call/SPLIT POCKET JACKET
(Wool 100%)
¥82,500 (tax including)
Call/6POCKET WIDE TROUSERS
(Wool 100%)
¥49,500 (tax including)
2022AWのテーマは『EACH SKY』
私たちが見ている空は自分のいる一地点からの視野でしかない。構成している物質は世界のどこにいても同じなのに人それぞれに映る空は異なる。本来ひと繋がりのはずの空を、完全に見ることは不可能なのかもしれない。空は確かにそこにあるが、人々の想像や経験に委ねた概念
なのである。
空をテーマにしたコレクション。今回ARCDではその象徴的な空の色をテーマにしているジャケットとパンツを入れた。
空の様に青く妖麗な色合い。
素材には縮絨させたウールサージを使用。滑らかな手触りで高級感がある。原料としてはウール素材ではあるが、サージの生地は長いシーズン着用することが可能。夏を抜いて殆どのシーズンでも対応する。軽さと膨らみがありながら保温性も抜群だ。
またCallが真価を発揮するのは細部のディテール。特にこのジャケットの後身頃に入れたヨークのシームラインには目を引く。袖口から肩、襟まで1枚で生地を用い、横から見た時に流れるようなデザインにと言う狙いがある。
続いて組下のパンツ。一目でわかる特徴はこの裾のジップ。開閉してシルエットを変えることができる。形はワイドなので、ジップを全開に開けばフレアの様になる。
フロントに4つ、バックに2つのポケットを備え、ヒップポケットはシームポケットにすることでバックシルエットをスッキリさせているので形も非常に洗練されている。
ジャケットは比翼仕立てにし、スナップボタンの仕様に。襟はショールカラーに角度をつけて、シルエットはボックスシルエットに。昨今から未だ続くビックサイズと言う概念は無く、スッキリ。身頃には肩から腰、腰から裾にかけて流れるように切り替え線を入れシームポケットにしているので、極端な装飾がなくよりスッキリした印象になる。
一見シンプルなスーツに見えるものの、実は結構アヴァンギャルド。スーツを着用することで自分の気持ちもシャッキリする。コロナ後の世界ではより一層スーツ離れが著しくなりそうだが、皆が着ないなら逆にチャンスと捉えたい。ファッションってそういうものだろう。
自分はいつまでもその気持ちで装いたい。
ARCD 嵐田
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