毎年春が来るとPERIOD FEATURES の時期が来たな〜と思います。かれこれ、５年以上自分自身が愛用していますし、飽きずに毎シーズン着てしまう洋服の１つ。いつも鮮度の高いコレクションピースを見せてくれます。

天然素材のジュートを染色して編んでいる手編みのベスト。

ジュートが使えば使うほど味わい深い色合いが生まれ、このアイテムの過程を楽しむことができます。ジュートはバッグや帽子など小物で見かける事は多いと思いますが、服となると珍しいのではないでしょうか。

斜め上を行く発想力。そこはかとなくperiodfeaturesの精神性が洋服に表れています。それは手仕事の温もりがありつつも、それだけにとどまらない「攻め」の姿勢。デザイナー津村氏のファッション愛を感じる1着です。

このジュート、実は糸から作っています。黄麻（コウマ）というナノキ科の植物の繊維を原料として育てられる素材。細い繊維を撚り合わせ、太さを指定。一本一本機械を使わずに手作業でコツコツと。

そこから指定されたパターン（型紙）に合わせて形成して行きます。しかし、津村氏曰くこのパターンに合わせて編んでいくのに非常に高度なテクニックが必要だった為、完成に２年の月日をかけたと言っていました。

ただ真っ直ぐ編み込むだけなら多くの職人ができるらしいのですが、菱形に編み込むジュートを洋服の湾曲部分（アール）に沿って形成して行くのが非常に困難だったとか。そこがなかなかオーダー通りに進めることができなかったそうです。そう言った意味ではもちろん量産はままなりません。１点１点ハンドとしての良さを最大限に活かした、ミニマルでダイナミックなベストが出来上がりました。

あえてボタンが悪目立ちしない様に透明のボタンを取り付けたところもセンスの良さが伺えます。またスナップボタンですので、開閉もしやすです。

前後菱形に編み込んだジュートに、仕上げでブルーのトリミング（縁取り）を。斜め後に逃した肩線、立体感のあるウエストのシェイプ。裾広がりなAラインシルエット、襟ぐりなど、クラシックなディテールと、ほのかに感じるフューチャリスティックな印象。服なんだけど、工芸品のよう。Periodfeaturesらしいこだわりが可視化された作品に仕上がってます。