Vol.2では阿部氏の過去から現在に至るまで、そしてこれからの展望など色々な話を伺うことができました。
改めて感じたのは、現場まで行って、見て、触れ、リアルな体験を通して初めて理解できるものがある。
1人のデザイナーの苦悩や人間としての壮大なストーリーはどんな形であれ、人それぞれの「傑作」となるということ。
阿部氏の場合「音楽」「絵画」「洋服」という表現の中に、自身の「生き様」が投影されていると思いました。
僕はできるだけお店で取り扱う商品に関しては、作り手(デザイナー)との対話を始め、お互いに洋服に対して共鳴し合う「共通点」を大切にしているので、例えそれが遠方であろうとなんだろうと、時間が許す限り必ず会にいくことを徹底しています。
デザイナーさんから僕、僕からお客様まで一直線に想いは繋がっていくのです。
そんな「人間くさい」彼の生き方に、服と言うフィルターと対話を通して、僕自身も「自分とは何か」を考えるきっかけを頂けました。
Noumuのアイテムは殆どが1点もの。阿部氏の感情そのままに、過ぎ去ったそのタームは2度と戻ってこない。
アイテムに込められた「音楽」と「服」の音色を少しでも画像を通して皆様に届けば幸いです。
我々は右側にあるカフェスペースで一息。
大きいウッドベースと、エレキギター、スチール製の棚。そしてここにも阿部氏の絵画が飾られていた。
パティシエである店長さんの奥様が作った手作りのお菓子と温かいコーヒーでブレイクタイム。
ホッと一息できた時間。外の降り積もる雪を見ながら頂くお菓子とコーヒーは、僕らの身も心を温めてくれた。
なんとコーヒー屋さんの店内も、阿部氏によってデザインされているそうです。
阿部氏はバナナを作品と共に陳列していて、お腹が空くとそのバナナを食べるらしい。
最初そのバナナは普通にオブジェだと思っていましたが、普通に食べれるんだね笑 と笑ってしまった。
阿部さんの可愛らしい一面。緊張もほぐれてきたところで、我々はゆっくりと試着モードに入っていきました。
※今回はデバイスの容量の関係で1部アイテムの紹介になります。
また製品は26AWから販売となりますので、プライスに関しては今回伏せさせていただきます。
まずは、オールデッドストックの貴重な素材を使用したロングコートから。
真空の中に閉じ込められ、ながい年月眠り発見された太古の花の結晶が、額装され再び意味を帯びる瞬間を表現した作品。
僕が個人的にインスタグラムを見た時からインパクトを感じた作品の1つです。
ドレスのようなコートを目指したこの作品は、シルク生地の上品な艶感がフローラルパターンのジャガード生地をより立体的に魅せています。
また、淡いピンク色のミックスツイード地でパイピングや表襟、見返しに差し色をして軽さと柔らかさを与えている。
奥行きのある造形美を持つボタンはフランスはパリにアトリエを構えるデザイナーのボタン。

それぞれの素材がデザイン全体のエッジを丸くしており、裏地には中綿地にダイヤキルティングを施しています。

こちらは国産の柔らかなシープスキンとフランス原産のデッドストックのふくれジャガード生地を使用したボンバージャケット。生地の切り替えにセンスを感じます。
金色、白、黒色などの糸で構成されたジオメトリック柄がユニークかつ現代的な要素を与えているのが特徴。
シルエットは控えめなオーバーサイズ。少しインナーを厚めに着ても着れそうな感じに仕上がっています。
ラグランスリーブのためジェンダーに関係なくフィットしやすいデザインとサイズだそうです。
オールレザーのトレンチコートはインパクトがすごかった。
袖、後身頃にかけて生地をシュリンク(皺寄せ)させており、袖をまくったままの状態を形状記憶。
各所にヴィンテージのバファローのホーンボタンを使用しています。
こちらは比較的Noumu作品の中では初期作に近いアイテムだったと思いますが、この段階では未だ「着ること」を目的として作られてない仕様らしく、実際販売する場合時は、皺の位置などを着やすいように調整しながら作成していただけるそうです。
まるで何年も着たかのように、シワの数々はあなたが生きた「証」と言うことを表現しています。
こちらの重厚感あるレザーのバックも、惹かれたアイテムの1つでした。このバックは主に医者が薬品などを持ち運ぶ際に使われていた物だったと言います。
イタリアはサンタクローチェ地区にあるLa Perla Azzurra(ラ・ペルラ・アッズーラ)社が製造する、ロウ引きした銀面が特徴のアーティスティックなショルダー革。
天然のシボ出し(シュリンク)加工を施しているのと、オイルが効いてる分やや柔らかめの質感ではありますが、裏処理加工の際のプレスで繊維が密になり、コシ感もある仕上がりとなっているそうです。
革の物性としては、植物タンニン鞣しで染料仕上げ、バケッタ製法によりオイルがしっかり入った革なので、使い込むほどに味わい深い色に変化し、自然な艶が出て来る、経年変化(エイジング)を愉しんでいただける革です。
現代的にアップデートされたMaison Noumuのドクターズバッグは前見頃から底、後見頃、マチに渡って継ぎ目の無い一枚の革で製作されています。
なんと言ってもサイズが良い。
幅420mm × マチ170mm × 高さ290mm(がま口サイズ350mm)と日常で使うのにちょうど良いサイズ感。

鞄の王様とも比喩される通称ダレスバック(ドクターバッグ)は大きく開く上部開口部が特徴的で、中が見やすく物の出し入れも容易です。
フラップ錠式で鞄に鍵をかけることも可能。鞄内部は大きな仕切りポケットの他にペンホルダーポケット、2口の小物用ポケットが付いています。
開閉する時、「カチッ」と施錠する音もまた良い。
個人的にかなり欲しい一生物の鞄。 必ず手に入れたい(お店で販売したい)と自分に誓っています。

そして、このコートも外せません。
甲冑の様なデザインと大きなシルエットが重厚感と強いインパクトを与えるレザーコート。前身頃、後身頃(センターバック切り替え)袖のそれぞれのパーツを一枚剥ぎで裁断し、約5枚の革を贅沢に使用し作成したコートは牛革の素材感がダイレクトに伝わります。

革の表面はワックスが吹き付けられており、経年変化により革に浸透し艶感が増す。
革の表情が大きく変わるこの作品は日常のアウターとしてはもちろん、アート作品としても愉しんでいただきたいそうです。

こちらも鞄と同じくイタリアLa Perla Azzurra(ラ・ペルラ・アッズーラ)社が製造する、ロウ引きした銀面が特徴のショルダー革。
フロントはボタンではなくマグネット式のもの。


個人的に好きなのはこの「甲冑」らしいエポレットの作り(肩飾り)。全体的なシルエットもバランスがとても良い。
着込んだらどういう風に変化していくのか。その過程を存分に楽しめそうな1着ですよね。
こちらは新作のアイテム。真っ白なレザーのセットアップ。
オランダの特殊化学メーカーDSM社が製造するDyneemaのレザー。
医療用縫合糸、漁業、水産養殖用ネットなどで採用される超高機能素材と言われ、その高機能素材とECCO LEATERが作るレザーを特殊技術でボンディング加工。
紙のように薄く、軽量でありながらも破れにくい高い耐久性(鉄の15倍の強度だとか)を兼ね備えた画期的なレザーです。
宇宙服のような真っ白な服は、近未来のイメージ。
いや、こんなレザーを着た未来人もなかなかいないかもしれない。
全体のバルーンシルエット、裾や襟元のリブがミニマルな中に華やかさを加えている印象でした。
こちらはセットアップでの販売になります。単体使いでも非常にインパクトの強い作品ではないでしょうか。
デッドストックの貴重なファブリックとタンニンなめしのホースハイドを使用したロングコート。
こちらはレザーとシルクのドッキングバージョンになります。
クラシカルな設計のインバーテッドプリーツが大胆にあしらわれたデザイン。
阿部氏は服にジェンダーはないと語っていましたが、この作品も男性、女性関係なく品格をグレードアップさせてくれる1着。
袖やパイピング、ポケットや前立てにレザーを使用し、ボタンもすべてレザーの包ボタン。
艶のあるシルクジャガード、馬革の野生味溢れる組み合わせがシックでエレガントな中に力強さと曖昧なジェンダーを共存させている。
また他にも布帛で作成したコートシャツ(上)やレディースのスモッグ(下)などレザーアイテム以外のアイテムの作成もしている。
最後に大物を。
これは僕が最初にNoumuをInstagram見つけた時に、心が全て奪われてしまった超大作。
透明のレザーを合わせて作成したアート作品。
見たことな質感と完成度。1着から発せられるオーラが凄まじいレザーコートでした。
着用する前に阿部氏から「すごく重いので気をつけてください」とのこと。普段から割と重い服を着ている方の僕だけに大丈夫かと思いきや、、15キロくらいあるんじゃないか?!と思えるくらい、かなりヘビー級。
透明レザーは厚みのある生の豚革を使用。
硬いレザーと柔らかいレザーの組み合わせはデザインとしての秀逸さは去ることながら、このレザーアイテムに限ってはリアルに使われることを目的としてない彼なりフィロソフィーがあります。
阿部氏曰くこの作品は
衣類とアートの境界線として捉えています。
"Apparition"
his is not clothing — it is a creature.
It once held a body, remembered its shape,
and now breathes on its own
like a discarded skin.
The leather has absorbed the weight of time.
The threads still try to keep a life connected.
A garment is the “second body” left behind
after the living have gone.
This piece gives that idea a physical form.
ーかつては人の体を包み、その形を記憶し、今は自ら呼吸している。まるで捨てられた皮のように。
革は時に重みを呼吸している。糸は今もなお命を繋ぎ止めようとしている。衣類は生きたものが去ったあとに
残される「第二のカラダ」である。この作品はその概念を形にしたものー
しかし、僕はこの作品を見に北海道まできた。
どうしてもこの目で見てみたかった。
だから今回、このレザーコートに袖を通した時の幸福感と達成感は計り知れなかったです。
BLOGで紹介するのにも数が多く、全部を紹介するとなるとかなり長くなりそうなのでここまで。
展示されている作品は全て素晴らしく、正直全部欲しいくらいでした。笑
しかし、僕以上にデザイナーの阿部氏は、本当はどの作品も手放したくないそうです。笑
でもこんなに素晴らしいアイテムばかりなので、欲しくなりますよね。
最後に阿部氏との2ショットいただきました。
せっかくなんで、自分のお買い物も。
Noumu作品にあったヴィンテージのフラワージャガードとレザーを組み合わせた2つ折りの財布をゲット。
こちらも1点ものだったので、とても嬉しかったです。大切に綺麗に使わせていただきます。
財布を購入したとき、阿部氏はレザーで丁寧に入れ物まで作ってくれました。
気づけば3時間くらいの滞在。あたりはすっかり暗くなっていました。
東京にいるといろんな情報にまみれて、逆に刺激が薄くなってしまうので、十勝の大自然の中で己に向き合うNoumuと言うブランドの唯一無二性をこの肌で感じることができました。
この感動をそのままに、2026AWでお客様にお届けできる機会を設けれらたらと思います。入荷を楽しみに待っていてください。
これにてNoumuを訪ねての3部作終了。
長文をお読みいただきありがとうございました。
嵐田